熱血王道青春物語「陽炎、抜錨します!」作品紹介・感想まとめ

艦隊これくしょん -艦これ- 陽炎、抜錨します! (ファミ通文庫)

みなさん、艦これノベライズ作品「陽炎、抜錨します!」はお読みになられているでしょうか?

個人的には「艦これノベライズ」だけとしてではなく、熱血王道青春物語として純粋に読んでて楽しいと感じた作品なので、今回その熱意を文字に込めて紹介記事を書かせていただきました。

艦これノベライズとしては少々癖の強い作品ですが、以下の方にはおすすめですので、当てはまる方は是非とも読んでみてください。また、登場艦娘も記していますので、好きな艦娘が登場している方もチェックしてみてください。

  • 駆逐艦は最高だ。
  • 少女達の青春劇が読みたい!
  • 熱血展開が読みたい!
  • 王道展開大好き!

「陽炎、抜錨します!」とは?

陽炎、抜錨です!」はファミ通文庫より出版されている全7巻の艦これノベライズ作品です。分類上では「ライトノベル」に属します。

著者は「築地 俊彦」氏、イラストは「NOCO」氏が担当されています。

世界設定

艦これ二次創作作品としての魅力のひとつは「世界設定」です。
これは本家ブラウザーゲームでの設定が曖昧なもので、それがかえって想像力をかき立てる要因となっていて、二次創作の世界の幅を広げているからです。

「陽炎、抜錨します!」では作品設定として「深海棲姫」の存在は以下のように設定されています。

あいつらの名は深海棲艦。何処から現れて海を荒らし回る、人類最大の敵。

ゲームのように「得体の知れない敵」として海の平和を脅かす存在として漠然とした設定で、深く言及されることはありません。これは艦娘の「キャラクター性」や「心理描写」が見所であるこの作品だからこそ、ゲームに近い曖昧な設定に終始しています。

一方、艦娘の存在については独特の設定が設けられています。

戦えるものはいなかった。いや、彼女たちしかいなかった。
それは艦娘。深海棲艦に対抗できる兵装を装備して海を駆けめぐり、勝利を掴む人類の守護者。

この文だけではわかりにくいのですが、一般の少女たちから艦娘の適性がある者が艦娘として採用され、名前や艤装が与えられるという設定になっています。
艦が記憶を持ったまま艦娘として生まれ変わる「瑞翼の絆」とは対照的に、史実要素は味付け程度で艦娘の人間性に重きを置く作風となっています。

「陽炎、抜錨します!」の魅力

陽炎、抜錨します!」は主人公の陽炎を嚮導艦(きょうどうかん)とした「第十四駆逐隊」の駆逐艦少女たちを中心とした物語です。「第十四駆逐隊」は他の艦隊からあぶれた問題児を集めた駆逐隊なのですが、主人公である陽炎とその問題児たちが訓練や実戦を通して次第に絆を深めていきます。
そこで描かれる駆逐艦少女たちの苦悩と困難を共に乗り越えていく青春活劇が本作のひとつの魅力です。

2巻以降では「第十四駆逐隊」の面々は作戦や遠征などで他の鎮守府・泊地での艦娘とも関わることとなり、そこでも様々な艦娘と共に困難に立ち向かうこととなっていきます。
行く先々で繰り広げられる個性豊かな艦娘と「第十四駆逐隊」の交流、それを通して成長していく駆逐艦少女たちも本作の魅力です。

また仕事や対人関係といった「社会人的苦悩」を抱える陽炎を主人公として話が進むため、少女達が主役と言っても「組織の一員」という社会人的感覚の中での熱血展開が繰り広げられます。若年層向けのイメージのあるラノベですが、成人層にも読めるように書かれています。

熱い駆逐艦少女達の青春活劇!

この作品の最大の魅力は「熱すぎる駆逐艦たちの青春活劇」でしょう。
というのも「駆逐艦は早死にするもの」という死生観が作中で何度も語られ、それが駆逐艦少女たちを血気盛んで感情あふれる魅力的なキャラクターにしています。

とにかく何かあったら殴り合うぐらいに血気盛んです。

笑いあり、涙ありの青春劇として駆逐艦たちの少女は感情的に激しくぶつかり合いますが、その過程を通して絆を育み、大きく成長していきます。

安心して読める王道展開!

本作では深海棲艦との戦闘をストーリーとして描かれますが、それはあくまで艦娘の仕事の一環として描かれ、物語の核心は「キャラクターの心理」にあります。

物語としては王道で各巻ごとに起承転結がはっきりしていて非常に読みやすいです。
変化球的演出はあまりないので展開自体は毎巻なんとなく読めてしまいますが、王道要素を際立たせるために艦これのゲーム設定を効果的に演出したり、キャラクター心理の描き方が抜群に上手いので、王道ストーリーならではの読了後の充実感に満たされます

「艦これ」という題材を大切にしつつ、より効果的に作品を魅せる王道ストーリーとして「陽炎、抜錨します!」は間違いなく素晴らしい作品です。

魅力的なゲストキャラ!

陽炎、抜錨します!」の魅力のひとつは、毎巻個性的なゲストキャラが登場し物語にしっかり関わってくる点です。
単なるゲストキャラとして登場するだけではなく、物語の核にしっかり絡んでくる巻毎のメインキャラクターとして大事に扱われています。
また、物語の山場では巻を越えて登場するゲストキャラクターも多く、山場で多くの仲間が集まり困難に立ち向かう「群像劇」としても熱いストーリーが展開され読み応えがあります。

「艦これ」の世界観の解釈!

所々にゲームの設定が効果的に散りばめられ「その手できたか!」とニヤリとできる演出が多数あります。
ゲームの設定を上手く作品に落とし込めているのもこの作品の魅力でしょう。

主要キャラクター紹介

第十四駆逐隊

第十四駆逐隊は史実には存在しない「架空の駆逐隊」です。
「陽炎、抜錨します!」では横須賀鎮守にて結成されたこの第十四駆逐隊をメインに話が進んでいきます。
第十四駆逐隊は陽炎、曙、潮、霰、皐月、長月の6隻の駆逐艦で結成されます。

陽炎

タイトルにも称される通り、主人公として登場します。
呉鎮守府から横須賀鎮守府に転属され、第十四駆逐隊の嚮導艦に任命されるところから「陽炎、抜錨します!」の物語は始まります。
ゲームのように朗らかで前向きなキャラクターは健在で、様々な困難に立ち向かっていきます。

持ち前の明るさと主人公という立ち位置から、仕事の押し付け厄介な人材管理など中間管理職的苦労を背負うこととなります。
陽炎単体のストーリーの内容としては「陽炎、抜錨します!」というよりは「陽炎、勤務します!」的な、ある意味軍人というか公務員らしい内容となっています。
しかし、本作での陽炎の最大の魅力はその仕事で発揮する「対人関係」やネームシップらしい「リーダーシップ」にあり、それが作中で他のキャラクターを通じて熱い展開を生み出します。

このように「嚮導艦」というリーダーという立場ではありますが、本人が行動して物語を引っ張っていく「天才タイプ主人公」ではなく、様々な問題や人物に振り回される「巻き込まれ型主人公」と言えるでしょう
艦これはプラットフォームのDMM自体が「18歳以上」を対象としているため、社会人的苦悩を主人公に背負わせることで、大人でも共感しながら読める主人公としてしっかり描かれています。

メインヒロイン。主人公に対するメインヒロインです。

天才肌ですが、それゆえに複雑な乙女心を抱く気難しい性格です。陽炎とは何度も衝突を繰り返しますが、その中でお互いに成長していきます。
口は悪いのですが、駆逐艦の誇りと仲間を大事に思う心を誰よりも強く胸に秘めています。
怒ったり笑ったり泣いたり、感情の揺れが一番激しいキャラクターではありますが、その分もっとも「陽炎、抜錨します!」でも感情移入できるキャラクターでしょう。

本作の魅力のひとつは、陽炎と曙の濃密な友情物語です。
「百合」とか「レズ」とかそういった「少女同士のきゃっきゃうふふ」という意味合いではなく、お互い艦娘という仕事を通じて「信頼を築き合っていく友情物語」です。
物語終盤でのお互いに成長した陽炎と曙のやりとりは「陽炎、抜錨します!」のひとつの山場であり最後まで読み通した読者に感動を与えてくれること間違いなしです。

曙の同期。ゲームのような控えめな性格ですが、その大きな胸の奥には仲間を守るための優しさ熱い闘志を人一倍秘めています。
物語序盤では、その気難しさで荒らんでいた曙に対する複雑な思いやりなど、控えめながらも優しい性格の艦娘として描かれます。

物語後半では、より強くなるためにとある決断をすることとなります。

陽炎と同じ呉鎮守府から配属された、無口な駆逐艦少女。その無口さゆえ存在感が薄く、曙とは真逆の方向の問題児として描かれます。また、同じ第十四駆逐隊のメンバーである長月と共依存関係にありま、それが無口さに拍車をかけます。
しかし、第十四駆逐隊との関わりの中で次第に必要な時は自己を主張できる強さを獲得していきます。

物語後半では無口ながらも、強い意志を持った駆逐艦として、必要な場面ではしっかり存在感を示す強さを見せるようになります。

皐月

病的なまでの筋トレ好きとして登場します。しかし、それは次第に睦月型の弱さや自分の実力の無さを克服するための必死の努力であることが明らかになってきます。
ゲームのような賑やかしの性格はそのままですが、第十四駆逐隊結成後も何か問題があってもどこか他人ごとのように外野から賑やかす面が描かれます。

しかし、第十四駆逐隊として成長して自信をつけていくうちに、持ち前の賑やかしの性格はムードメーカーとして仲間を盛り上げるために使えるようになっていきます。

長月

ゲームのような武人肌のキャラは健在ですが、その裏に「睦月型は貧弱」という思い込みや自信のなさといったコンプレックスを抱えたキャラクターとして描かれます。
その事実から「霰を守る」という共依存関係を作り上げることで目を背けようとしています。

しかし、第十四駆逐隊での経験を重ねて行くうちに霰だけではなく仲間を守れる頼もしい駆逐艦として、その武人肌のような口調に見合う実力へと成長していきます。

横須賀鎮守府

第十四駆逐隊の所属する鎮守府で、物語の舞台となります。

愛宕

横須賀鎮守府の秘書官、つまり陽炎の上司という立ち位置で登場します。
作中ではゲームでのふんわりしたキャラクターをさらに強調した「お姉ちゃん強要キャラ」としておちゃらけていますが、その裏ではかなり面倒見のよい上司キャラです。

鳳翔

ゲームのようなおしとやかな性格で、半引退状態で横須賀鎮守府で居酒屋を営んでいます。様々な問題で悩む駆逐艦少女達の相談役として度々登場し、彼女達の精神的な支えとなります。

呉鎮守府

陽炎の元配属先として、作中で度々登場するもう一つの舞台が呉鎮守府です。この鎮守府に所属する艦娘も物語に大きく関わってきます。

不知火

陽炎の唯一無二の親友。2巻以降、半レギュラーキャラとして陽炎の親友としての存在感を示します。
ゲームのようなクールな武人肌のキャラは健在ですが、その一方で横須賀鎮守府所属となって距離感の離れる陽炎に対する複雑な乙女心も本作の見所です。

神通

鬼教官、呉所属の駆逐艦たちのトラウマであり自信の源でもあります。作中での登場は控えめではあるものの、駆逐艦たちから度々その存在が口にされるために印象強いです。物語後半では呉鎮守府と横須賀鎮守府を繋ぐ存在、また陽炎の大先輩として頼もしい存在感を発揮します。

ゲームでは改二実装で気の強いお世話キャラとして定着していますが、本作でも口は悪いが面倒見のよい姉御肌キャラとして登場します。同じく口の悪い曙との関係も必見です。

「陽炎、抜錨します!」あらすじ紹介

1巻

記念すべきシリーズ第1巻です。

主人公である陽炎が親友である不知火と別れ、横須賀鎮守府に配属されたところから物語が始まります。

転属先では早速トラブルに巻き込まれる陽炎は、とある艦娘の捜索を依頼されます。
―――その艦娘の名は「曙」。

そして、横須賀鎮守府に正式に配属された陽炎は早速重大な役目を担うこととなります。
それは「第十四駆逐隊」の嚮導艦という役目でした。

第十四駆逐隊の面々と出会って挨拶していくうちに問題児だらけの駆逐隊の嚮導艦に任命された事実に気づいていく陽炎。
しかし、それにめげずに陽炎は第十四駆逐隊の面々と向き合い、それぞれが抱える問題と直面したまま深海棲艦との戦いに身を投じて行くこととなります。

「駆逐艦は鎮守府の要だからな」

物語エピローグの横須賀鎮守府提督の言葉ですが、ここに1巻の物語の事実がすべて詰まっています。

この「陽炎、抜錨します!」はこの言葉の通り、駆逐艦の誇りと矜持を貫き通す物語として最後まで突き進んでいくこととなります。

2巻

第2巻では陽炎の親友である「不知火」が横須賀鎮守府に転籍されるところから物語が始まります。
しかし、横須賀にきた不知火は第十四駆逐隊の面々と絆を深める陽炎に複雑な心境を抱くこととなります。
その心境を端に表わす場面として以下のシーンが印象的です。

陽炎「やめてよ。天才のあんたが困難なんて信じられない」

不知火「不知火は天才ではないですよ。天才とは雪風とか、ここの曙のことを言うのです」

陽炎「……あー」

陽炎はちょっと苦笑い。

陽炎「やっぱり分かる?」

不知火はうなずいた。

この場面の時点で不知火と曙は顔を合わせた程度の仲ですが、不知火は正確に曙のことを見抜いています。

その予想は的中していて、やがて二人は陽炎の親友として衝突していくこととなります。

ちなみに雪風は存在が示唆されるだけで「陽炎、抜錨します!」本編には一切登場しません。幸運艦としてまことしやかに語り継がれる雪風だけに、このような「伝説的存在」という演出で作中で存在感を示すのは面白いですね。

この巻は不知火という陽炎の旧友を登場させることで、第十四駆逐隊と陽炎の関係に変化をもたらし、より絆を深めていく巻として描かれています。

3巻

第3巻の舞台はリンガ泊地です。リンガ泊地では提督の介護秘書官の「叢雲」と「あきつ丸」が登場します。

序盤は叢雲とあきつ丸のリンガでのサバイバル生活や第十四駆逐隊のバカンスなど、南国情緒あふれるほのぼのとした展開が描かれます。
しかし陽炎はその裏で、リンガ泊地の提督と艦娘が何か抱えていることに薄々と気づき始めます。

そしてその不安はリンガ付近で深海棲艦と交戦するうちに次第に明らかになっていきます。

この巻でもっとも熱いのは、それまで陸の人間ということで提督や艦娘に扱いづらく思われていたあきつ丸の活躍でしょう。

「あきつは陸(おか)の人間なのですよ。海では後れをとっても、陸の上で化物ごときに負けたりしないのです」

まあ、そうなるな。

こういったゲーム内では絶妙な立ち位置で目立たない艦娘でも熱い活躍を見せるのが「陽炎、抜錨します!」の魅力です。

4巻

時間は遡り、陽炎が横須賀鎮守府に転属される前、つまり呉鎮守府でのお話です。

陽炎の親友である不知火はもちろん、回想で登場していた「黒潮」や「神通」、陽炎の先輩分として「」、呉鎮守府所属の「龍驤」や秘書官である「大淀」など多数のゲストキャラクターが登場します。

この4巻では、呉で開催される鎮守府祭(体育大会的なもの)の駆逐艦代表として選出された陽炎を中心として話が進んでいきます。

鎮守府祭の名物「駆逐艦による騎馬戦」のシーンは必読です。
「陽炎、抜錨します!」の駆逐艦少女たちによる熱い罵倒、殴り合いはこの作品の駆逐艦の性質を濃縮したシーンとして楽しめます。

とくに霞の台詞は強烈です。

そして、霞は叫んだ。

「ぶっ殺せー!!」

呉の駆逐艦たちは、猛然と殴りかかっていった。

「このクズ」「*ねばいいのに」などと、ゲーム中でも口の悪い霞ですが「ぶっ殺せー!!」まで言わせてしまう作者の勇気に完敗です。
ちなみにこのシーンはとある横須賀鎮守府の駆逐艦が陽炎をバカにする発言をしたがために出てきた言葉であり、その裏には霞の優しさや仲間を思いやる気持ちも隠されています。

今でこそ改二実装に伴い「霞ママァー」などと厳しさと優しさを合わせ持つキャラとして人気を博している霞ですが「陽炎、抜錨します!」では早くからそのような霞の持つキャラクター性が強く描かれていました。

時系列的には過去の話で、陽炎が第十四駆逐隊の嚮導艦に任命された経緯を少しずつ紐解いていく話なのですが、霰と皐月・長月の過去の交友関係が明らかになるなど、これまで明かされなかった第十四駆逐隊の面々の過去も明らかになっていきます。
また、この4巻の物語やゲストキャラクターは後の巻でも大きな役割を果たしていきます。

5巻

キス島沖の作戦に参加することとなった第十四駆逐隊は、幌筵泊地に集結することとなります。そこではキス島に縁深い「阿武隈」に「木曾」と「まるゆ」も登場し物語に大きく関わってきます。

この巻で特筆するべき点は、常に死と隣合わせとなる艦娘の死生感や覚悟が印象的な台詞となって現れている点でしょう。

とくに阿武隈の以下の台詞は強く印象に残りました。

「さあ。でも、天国は知らないけど、地獄はあるとおもうよ。ないと困る」

阿武隈は言った。

「あたしたちはそこに行くんだ」

今でこそゲーム内で最強軽巡改二として目立ちまくっていますが、当時ゲームでは改二実装されておらず地味なレア艦であったため、この台詞はすごく衝撃的でした。ただ、史実での阿武隈の戦歴やそれを評価された現状の改二の性能などを見ても「見た目や性格によらず、実はかなり強い実力と意志を秘めている」という点でこの台詞が生まれたのではないでしょうか。

こういった強烈な台詞は、単に印象に残るだけではなく物語に緊張感を与えてくれるスパイスともなり、読者を「陽炎、抜錨します!」の世界に浸らせてくれます。

また物語終盤では不知火といった以前の艦のゲストキャラや、の元同僚であるなども登場します。

ネタバレとなりますので詳細の記述は避けますが、作品全体で見ると「曙の成長譚」として重要なエピソードとなるのがこの5巻の物語です。

6巻

第十四駆逐隊での実績を積み重ねた陽炎は佐世保鎮守府に転属され秘書官に任命されることとなります。同時に第十四駆逐隊にも佐世保での休暇命令が下されることとなります。佐世保鎮守府では「那智」や皐月・長月の元同僚「文月」などがゲストキャラクターとして登場します。

序盤は佐世保鎮守府の秘書官として就任する陽炎と前任である那智のやりとりが続きますが、これがもう完全に仕事の話で、今までの熱血活劇とはまた違った味わいがあります。

「陽炎。昨日から仕事ぶりを見ていたが」

「なんでしょう。そろそろ死のうかと思っていますが」

「真面目にやりすぎなんだ」

と那智は言った。

これは一例ですが、こういった「リアルな仕事のやりとり」によるあるあるネタも「陽炎、抜錨します!」での秘書官の仕事のリアリティを演出していて面白いですね。

物語中盤では3巻のリンガ泊地で登場した「叢雲」も登場し、秘書官の業務で悩む陽炎に先輩秘書官として接することとなります。

6巻は「最終巻のための前置きの巻」として、どちらかというと静的な物語展開で、成長した第十四駆逐隊の面々の心理描写に力が注ぎ込まれています。
そして、物語は潮のある決断と共に幕を閉じ、最終巻である7巻へ続くこととなります。

7巻

シリーズ最終巻です。佐世保から横須賀に立ち寄った陽炎率いる第十四駆逐隊は、呉に一端立ち寄ることとなります。そこで第十四駆逐隊は新たに配属された夕雲型駆逐艦の指導係に任命されることとなり、彼女たちを横須賀鎮守府まで同行することとなります。

夕雲型駆逐艦の指導では、第十四駆逐隊結成当初を思わせるやりとりが繰り広げられ、第十四駆逐隊の成長を感じさせる一方で、艦娘として自立してきた第十四駆逐隊の面々に世代交代の予感を漂わせます。

物語中盤では夕雲型駆逐艦の過去の曙を思わせるある行動により物語が急転していきますが、これも後輩の「過去の曙」を思わせる行動とその対応で、第十四駆逐隊の成長を実感させます。

物語終盤では満を持して連合艦隊が登場することとなりますが、艦隊を編成するには艦娘が足りないという問題が発生します。
しかし、そこで今まで登場した魅力的な登場人物が集結することとなり青春群像劇らしい、最後の出撃となります。
呉鎮守府の秘書官である大淀の計らいである艦娘が派遣されるのですが、これは作者から今まで読み続けた読者へのご褒美=ファンサービスとしても粋な計らいに感じました。

「陽炎、抜錨します!」は陽炎と曙の友情物語でもあるんですが、最後に二人の信頼関係が最高の形で描かれます。

陽炎「はじめてあんたと会ったときのこと、覚えてる?」

曙「もう忘れた」

陽炎「あたしも」

曙「ねえ、陽炎、実は前から、訊きたいことがあったのよ」

この後「陽炎、抜錨します!」の設定を活かし、二人の信頼が確かな形で描かれます。
駆逐艦少女たちの成長物語として、この上ない幕引きです。
そこには「陽炎と曙の信頼関係」だけではなく「作者と読者の信頼関係」もあり、最後まで読んだ読者に最高の読了感を与えてくれます。

「陽炎、抜錨します!」と駆逐艦少女たちの成長物語のクライマックスをあなた自身で読んでみてください。

まとめ

この「陽炎、抜錨します!」という作品、とにかく熱血!王道!青春!って感じなので、是非1巻だけでも読んでみてください。
1巻でおもしろいと感じて頂ければ絶対に全巻楽しめるはずです。

「陽炎、抜錨します!」は大手の書店で購入が可能ですが、発売から少し時間の経っている作品で品切れも予測されますので、確実に入手したい方はAmazonでの購入がおすすめです。

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ただし「陽炎、抜錨します!」では巻数毎に通常版と特装版がリリースされているので重複で購入しないように気をつけましょう。
特装版では本編に加えイラストが追加されています。

それでは熱い王道青春物語「陽炎、抜錨します!」是非読んでみてください!